井上誠 展 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 6月 09日 |
井上誠(B.1986)は2009年に日本大学藝術学部美術学科を卒業し、主に岩絵の具を素材に日本画を制作する若手作家です。美濃紙や麻紙など、通常の日本画にくらべ、薄手の和紙を下絵の雰囲気や色味に応じて使い分けています。本画は、家紋のような模様を描き出し、その上から和紙を貼り、生物などのモチーフを描くという二重の構造になっています。正確に描かれた模様は他者を表現し、浮遊する生物は不安と孤独を抱えた現代に生きる我々を投影しています。模様と、モチーフの間に一つの層を作る事で、自己と他者の隔たりが表現されています。 今展では0号の小品から80号の大作までご覧頂けます。 自分の過去を辿ったとき、現在の私の根に在るのは、幼い頃に触れた自然や生き物の存在であり、自分を映す存在であると思っています。金魚や虫など、儚くも力強く息づく生物とその周囲を取り囲む文様との間に在る和紙は、朧げでありながらも確実に自己と他者との関係を遮る「境界」として存在しています。「集団の中にいながらも時折感じる言い知れない孤独」という、誰もが一度は感じたことのある気持ちを表現できればと思っています。 全文提供: 文京アート 会期: 2010年6月7日-2010年6月17日 |
最終更新 2010年 6月 07日 |