村井進吾:CARTA |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2014年 3月 14日 |
村井進吾は 1952 年生まれ。多摩美術大学大学院修了後、数多くの個展、グループ展に出品し精力的に発表しています。 近年は大分市美術館での大規模な個展、1996 年からは茨城県筑波山麓を会場に、およそ隔年開催されている「雨引きの里と彫刻」に出品。彫刻と地域の在り方を野外彫刻展という場を通して提示してきました。さらに、2009 年春に国立新美術館で開催された「アーティストファイル 2009-現代の作家たち」では、全長 42mという大空間に黒御影石の作品群で、静謐な空間を作り好評を博ました。 村井の作品はそのストイックな印象のせいか、まず石の美しさに心を奪われます。作品は黒御影石や大理石を掘削しただけの一見、簡潔極まりない形状をしていますが、それらの表情を丁寧に見ると所々に内部に思いを馳せる痕跡がいくつも見られます。村井は従来、石塊を分割し再度組み立てた作品を発表してきました。それは二度と内部構造を見ることが出来ない、見えない部分を想像するしかない作品でした。そのような中、近年は内部を隠すのではなく、外から全てが見える作品へと変化してきています。 物体である「石」に、ある構造を与えることによって、その作品はどのような見え方をするのか?さらに、闇の固体である石とはどのような物体なのか? その闇の内部を見てみたい、と村井は言います。 村井の作品は常に「石」本来が持つ、重量感や緊張感を湛えながらも、沸々と湧き上がってくる不可思議で愛おしくもあるその素材への探究心が十分に発露されたものと言えます。 今回は近年発表している方形のエッジを削り取った「破辺体シリーズ」の新作になります。並行して発表している「黒体シリーズ」と対を成す作品で、35×35×35cm の立方体20個が整然と並べられ、140×175×35cm のサイズとなりますが、ひとつひとつが独立したカードのように一枚ずつめくるカルタ(CARTA)をイメージさせる作品です。展示内容はこの大作のほか、小品数点となります。 今回は画廊の展示スペースも変わり、また新たな空間でどのような表情を見せるか楽しみな展示となります。この機会をお見逃しなく是非ご高覧頂けますようご案内申し上げます。 [作家プロフィール] 全文提供:ギャルリー東京ユマニテ 会期:2014年4月7日(月)~2014年4月26日(土) |
最終更新 2014年 4月 07日 |