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Published: September 10 2012 |
[作家コメント] 傾景
家を支える柱は、垂直に立てる。人間は、垂直歩行し、崇高な志は真っ直ぐ天に向かって掲げられる。そもそも彫刻は、重力との拮抗である。 ある時、その「垂直」が実は幻想なのではないかという思いに捕われた。 我々の世界は、大本から傾いているのではないかということである。いかに堂々と立ち、いかに慎重に柱を据えても全て始めから傾いている。それが、人間であり、人間の世界なのではないか。
傾いているが、倒れていない。この危ういバランスの担い手は、絶えず求め膨らみ続ける人間の、善悪を問わない欲望と、我々にとって不条理とも思える、コントロールできない自然の摂理だ。
個人の死以上に、世界の死という絶望が道の先に大きな「穴」として存在する。風景が色あせていく。限りある時間の中で人間は、何故伝え、何故育み、何故夢を見るのか。
「傾いた世界」という前提は、そのように霧散しかけた私を、今一度世界の地平に引き戻した。人間の欲望と自然界の摂理、両者の作用で世界が存在しているのであれば、両者は共に不可欠だ。絶望の穴が暗く大きいほど、人間が生きるということが鮮やかに色づき幸福が起ち上がる。
欲望は暴走する危険もあるが、上昇する浮力にもなる。 底なしの「穴」は、どうしようもなく恐ろしいが、故に強い浮力の呼び水にもなる。
田中圭介
[作家プロフィール] 田中圭介
1976千葉県生まれ 2002東京芸術大学美術学部彫刻科卒業 2004東京芸術大学美術学部修士課程彫刻科修了
個展 2001Gallery風、東京 2005GalleryGAN、東京 2006昭島リレー美術展 2005彫刻銀河市民ロビー展、東京 2008青山、山本現代、東京
グループ展 1999◯◯◯展、ギャラリー山下、東京 1999WTokyo、多摩美術大学、東京 2005Sculpture、有隣館、群馬 2005いわくにアートフェア、山口県岩国市、山口 2006アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京 GEISAI#10、東京BIG サイト、東京 国民文化祭2006 いわくにアートフェア、山口県岩国市、山口 第2 回アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京 2007物語の彫刻、東京芸術大学大学美術館陳列館、東京 第3 回アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京 TOKYO>COPENHAGEN、MOGADISHNI CPH、コペンハーゲン 2008ドリーム・オブ・ザ・スカル、山本現代、東京 2009奇妙な風景、山本現代、東京 2011Sculpture Times #1FromNUDE、上野の森美術館ギャラリー、東京 サブジェクティブ・オブジェクツ、山本現代、東京
今後の予定 2012平行的日本世界、A4Contemporary Arts Center、成都 傾景(個展)、山本現代、東京
受賞歴 ベーコンプライズ2010
パブリックコレクション 有料老人ホームGREEN、秋田
Reception for the artists 6th Oct,2012 18:00-20:00
全文提供:YAMAMOTO GENDAI
会期:2012.10.6~2012.11.2 時間:11:00~19:00 休日:Closed on Sunday,Monday and National Holiday 会場:YAMAMOTO GENDAI
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Last Updated on October 06 2012 |