三井美幸:Black Party |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 12日 |
女性のロングヘアが広がる写真に、飛び出してきたように馬の毛束が添えられ、青いビニールテープを筒状に積み上げた塔の前には、重ねたガラスの上にサメの骨が置かれています。三井美幸の作品は自分で撮影した写真、アクリル絵の具、鏡などの既成品を組み合わせてつくるインスタレーションです。見慣れた物質で構築された作品は、現実の部屋の片隅のようでありながら、儀式の祭壇のようでもあり、祈りにも似た不思議な印象を与えます。 三井美幸は2009 年に大学院を修了、東京を中心に作品を制作発表してきました。人体の一部をモチーフにした立体作品「KIKI」(東京ワンダーサイト本郷2009)は、目隠しされた女神像に9 本の手や腕のようなかたちをつけ、その肩から灰色の幾何学形体へ変容した下半身へと絵の具の黒色が滴っている様が、強い情念のような迫力を感じさせます。 「エンド・ビューティフル」(3331Arts Chiyoda 2010)では、赤いカギ爪のような腕を前 に突き出し、獅子舞のように白い角を立て黒いマントを被った像が、観る者より「ビューティ フル・モンスター」と自然に呼ばれるようになり、恐ろしい存在感を発していました。 三井は作品を、日常生活を過ごしている中でフトした時に思いつくのだといいます。三井にとって作品とは、内から湧き出てくる個人的な宗教に近いものであり、自分自身を社会という身体に含まれる細胞のひとつに喩え、社会から吸収し自然に吐き出されてくる、自身でも何か理解しがたい核のようなものだと話します。社会に同化しながら問いかけを続ける行為は、時に美しくも恐ろしいかたちになります。 今展では、「KIKI」の女神像に交えて平面、立体の新作で構成した新作を発表します。若い感性がとらえた現代の表情は強い生命力に満ち溢れています。どうぞ会場でご覧ください。 三井美幸 展覧会 受賞歴 ※全文提供: INAXギャラリー2 会期: 2011年6月1日(水)-2011年6月25日(土) |
最終更新 2011年 6月 01日 |