極並佑:彷徨うシンデレラ |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 4月 13日 |
極並佑(1985年生京都府生まれ京都在住)は2009年京都造形芸術大学大学院芸術研究科修士課程を修了しました。大学院に在学中の2008年から「modern people」と題する一連のシリーズを 制作しています。登場する人物は顔のパーツの部分が描かれていません。 「顔のみえない人物、誰でもない、言い換えれば誰でもある、そんな曖昧な人物像に大きな魅力を感じている」と極並は言います。携帯電話、インターネット、ブログにツイッター。距離 を超え、時差も飛び越え、世界中の人々が顔を合わせることなく、瞬時につながる現代社会。そんな時代に生きる現代人の曖昧で希薄な関係性が表されています。登場人物の顔の部分が描かれていないにも関わらず、その人物の存在がしっかりと主張されています。 これまでの彼の作品は、人物や背景が単純化され、黒く太い線で輪郭が縁取られ、色面が均 一に塗られ、非常にグラフィカルでクールな印象を与えていました。しかし、昨年から作風に変化が見られました。グレートーンの微妙な色彩で描かれる山や海といった風景が背景に現れ、全体が不穏な雰囲気に包まれています。又、背景に整然と並ぶ大きなドットやソファーが描かれるなど、平面画面において、奥行きと物語性が感じられるようになりました。それまでは極力ミニマルな表現に徹していましたが、現在はそういった削ぎ落としてきた欠片を拾い集める感覚で描いているといいます。 今回はイムラアートギャラリー京都にて初の個展となります。100号2点を含む新作約7点を 展示いたします。平面絵画の可能性を追求する極並佑の新しい展開をご高覧くださいませ。 作家コメント 今回の展覧会「彷徨うシンデレラ」では制作の過程で放棄してきたものを、欠片として拾い 集め、絵画としてのアプローチを強く意識した。客観性を重視し、限定された要素の中、グラ フィカルな表現を通し、平面としての可能性を探っていたこれまでよりかは、純粋に作品に向 かい合えたのではないかと感じている。物語性やマチエール、ある程度の自由は、絵画として の性質をより混乱させてしまう可能性がある。雑然とした状況が当たり前に受け入れられる中 、平面、絵画について今一度考えられればと思う。 ※全文提供: イムラアートギャラリー 会期: 2011年4月16日(土)-2011年5月28日(土) |
最終更新 2011年 4月 16日 |