八幡はるみ:Kaleidoscopic Yuzen-柔らかい絵- |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 1月 06日 |
《soft piece "narihira"》2010年 八幡はるみはこれまでに、絹や木綿、ウールモスリンなどの素材に、コンピューターを使ってのデジタルプリントやスクリーンプリント、箔をを用いたり、シェイプドダイと呼ばれる手法を自ら考案するなど、様々な技法を駆使して、装飾・文様美を追求してきました。 今回は4年ぶりとなる4回目の個展です。テーマは「Kaleidoscopic Yuzen -柔らかい絵-」。 ダイナミックでありながら、どこまでも自由で、美しい、八幡はるみの染色と装飾の世界を是非ご高覧ください。 今回の展覧会で、八幡はるみは布の柔らかいかたまりのような造形物を制作している。 壁にかけて鑑賞するものなのに裏面にも表現があったり、作品に家紋の刺繍がほどこされていたり、不思議にユーモラスだ。そのふわりとした立体感は思わず手で触れたくなるが、さりとて日常生活での用途があるわけでもない。これはいったい何なのだろう。どうやらテキスタイルでもソフトスカルプチャーでもない、布の新しいたたずまいが提示されているらしいのだ。染織のさまざまな方法が思うがままに展開されているのも興味深い。亜熱帯植物をモチーフにして、染め、プリント、刺繍、裁断・縫合、市販布地のコラージュなどが駆使される。ひとつの技法にこだわったりストイックに追求したりするのではなく、子どものように布に触れ、装飾の世界に遊ぼうとする姿勢がそこにある。 かつて芸術を志しながら布をつくる喜びを知り、寄り道してみようと思った。おそらくそこが私のスタート。襟を正した芸術にはない親近感を見た。この柔軟性、汎用性はかけがえのない根拠としてますます強く私にある。色や形を空想する、イメージする、えがく、染める、縫う、見る、着る、使う、どれもが等価だ。「染める」を深めていくにしたがって、その豊かさが日本にあったことを嬉しく思うし、なくなりつつあることを悲しく思う。アジアだ。手の国ニッポンだ。そんなことを考えながら、今回は布が欲するくとを自然な「絵」にしてみたいと考えた。 ※全文提供: イムラアートギャラリー 会期: 2011年1月8日(土)-2011年1月29日(土) |
最終更新 2011年 1月 08日 |