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桝本佳子
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 26日

画像提供:小山登美夫ギャラリー|© Keiko Masumoto

桝本佳子の陶芸作品が最初にあたえる印象は、意外性、驚きといったものでしょう。中央を松の木に貫通された壷、「松/壷」。一見すると普通の飾り壷、反対側からみると白鷺をかたどった彫刻の「白鷺/壷」。壷ふたつを繋ぐようにして吊橋がかけられた「橋/壷」。これらの作品がもつダイナミックさとユーモアは、「器と装飾の、主と従という関係を壊す」という桝本の試みによって生み出されています。普段は装飾として、器という輪郭、あるいは額縁のなかにおさめられているモチーフは解き放たれ、輪郭を飛び越えます。器からはその用途、習慣性が剥奪されますが、器であることは変わりなく、そこに存在しつづけています。つまり器とモチーフは1:1の関係であり、ある種の緊張感をもって存在しあっているのです。

桝本は幼少より茶道に親しみ、様々な道具がある一方で、用途のない工芸品が多く存在することに興味をもったと言います。「飾るだけなのであれば、もはや器の形をしている必要は無い」。歴史のなかでできあがったカテゴリーを可視化させるような彼女の作品は、それを成立させるための技術によってこそ可能になり、人を立ち止まらせるような存在感を放つのです。

展覧会について
小山登美夫ギャラリーはこの度、若手アーティストの作品を紹介する「TKG Projects」を開始いたします。本展はその第一回目となる展覧会です。
桝本佳子の新しい「圧縮紋様」のシリーズを含む、新作6、7点を展示いたします。この機会に是非ご高覧下さい。

作家プロフィール
桝本佳子は1982年兵庫県生まれ。2005年、京都市立芸術大学卒業。2007年、京都市立芸術大学大学院修士課程陶磁器専攻修了。2008年の「東京ミッドタウンアワード アートコンペ」にて準グランプリ、2009年の「トーキョーワンダーウォール」(東京都現代美術館)にて立体インスタレーション部門大賞を受賞。石田大成社ホール(2008年、京都)、太陽事務(2009年、京都)INAXギャラリー(2010年、東京)等で個展を開催。昨年11月から開催された「現代工芸への視点ー装飾の力」(東京国立近代美術館 工芸館)に参加しました。小山登美夫ギャラリーでは初の個展となります。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー


会期: 2010年6月8日-2010年6月23日

最終更新 2010年 6月 08日
 

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