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有賀和郎 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 22日

≪情景の醗酵≫2006年|キャンバス・水彩・色鉛筆・パステル|363×516mm|画像提供:ギャラリー58 copyright(c) Kazuo ARIGA

有賀和郎は1951年東京都生まれ。1975年日本大学大学院理工学部修士課程修了。生命体の液晶構造などを研究する科学畑出身で、東京を中心に海外でも発表をおこなっています。

有賀は夢の中に感じる気配や、脳の奥底から醸しだされる“醗酵”した記憶をそのまますくい上げて画面に写しとることを試みています。一つの生命体の中には、生命進化の数十億年の時間が秘められており、祖先から自分に繋がる遥かな記憶を<醗酵室>としての脳がゆっくりと醗酵させ、それが「夢」に変わってゆくのではないかと有賀は仮定します。ゆえに、「夢」や「脳の奥底に潜む記憶」は、遠く遥かでありながら、また遺伝子のように切実で臨場する気配を持つのではないかと考えます。

脳の中に醸し出される未知の現象を素材としていますが、そこからイメージをふくらませるのではなく、「気配」をそのまま写しとることで、脳の奥にあるその本質の一つに迫ることを試みています。有賀の表現は、シュールレアリズムや幻想絵画とも異なり、見るものを作者の内奥にある異空間へと誘ってゆきます。

“夢についての夢想(仮説)”
祖先から無数の時間を重ねてきた今の自分。
僕達が日ごろ経験することも、いったん記憶の底に深く落とすとそういった時間の醗酵を受け、夢などになって現れるのだと思います。個人の記憶は、太古からの時間を経た脳みそによる醗酵機能を経過しているのではないかと思うのです。
今回の展示では、油彩とパステルの新作18点と、映像作品での表現も試みる予定です。

【プロフィール】
1951年 東京生まれ
1975年 日本大学大学院理工学部修士過程修了 <個展>
1996年 アートギャラリー環(東京)
1997年 ギャラリーフレスカ(東京)、スペースS(東京)
1999年 ギャラリー銀座フォレスト(東京)
2000年 JUST ART AGLERIE(ベルリン)
2001年 すどう美術館(東京)
2002年 Galerie Lichtblick(ベルリン)
2005年 アーティスト・イン(東京)
2007・08年 ギャラリー58(東京) 【トークイベント】入場無料
2009年11月5日(木)17:00-18:30
・石川翠(美術批評家)『夢と芸術』
・生野毅(俳人)『魄鱗・有賀和郎へのオマージュと即興朗読』
・杉本真維子(詩人)・有賀和郎『脳の中の庭へ』

全文提供: ギャラリー58

最終更新 2009年 11月 02日
 

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