向山裕:石室・現像 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 9月 10日 |
向山裕 (むこやま・ゆたか) は1984 年大阪府生まれ。 宝塚造形芸術大学在学の2005 年、当画廊企画の若手 作家を紹介する展覧会”humanite lab” で初個展を開催。 100 号~120 号の巨大なキャンバスに、実際には指先ほ どの小さな熱帯魚や、頭と尾に分かれたウナギなどを 精密なタッチでリアルに描き、注目を集めました。 その後、韓国での個展やグループショウ、昨年は「高 島屋美術水族館」、「美の予感 2010-新たなる平面のカ オスへ-」共に高島屋日本橋(東京、他国内巡回)に出品。 その卓越した技術によって描かれた、どこか愛着を感じ る作品が多くの反響を呼びました。 向山が近年描くモチーフには、ウナギ、たこ、海ほたるなど海の生物が多く見られます。向山は、まず気になった生物をネット や辞典で調べ、入手可能な生物は実際に 飼って、その生育を共にします。例えば「うみほたる」は、実際にはゴマ粒くらいの大き さですが、顕微鏡で観察し、ついには解剖までして内蔵や体のしくみを詳細に調べ上げ、キャンバスに描いていきます。それらは、 図鑑に登場しそうな、作家の意思を殆ど感じさせない写実的な生き物ばかりですが、どこか愛くるしく、ユニークで人間のような親 しみや悲哀を持っているかに見えます。 本学は山形県の蔵王山麓に位置する東北唯一の芸術大学です。その独特な気候風土のなかで、私たちは何をつくるべきなのか。東北という土地をつかみ絵として表現することについて様々な議論を重ね、絵画という可能性の中で、総勢40名の作家によるそれぞれの「私」から出発した「東北画」(絵画・ドローイング・立体作品など約40点)と数々のインスタレーション作品や共同制作による大作が会場を埋め尽くします。 さらに今回の新作「いかめし」はきれいな白磁の器に盛りつけられ、何故か青い畳の上に置かれています。つるつるとした飴色 の醤油の匂いが立ち昇ってきそうなイカ飯。向山は描きたいモチーフの質感、触感、そしてそれらを含む全てをよりリアルに描く ために、構図の組み合わせまで徹底的に拘り作品を作り込んでいきます。 今回の個展は2年ぶりの新作展となり、100 号の大作のほか油彩約8 点、他に動物の一部分をFRPなどで制作した立体作品数 点を展示いたします。昨今注目を集める若手作家の中でも、高度な技術とインパクトのある作品で定評のある向山。期待の展覧 会を是非ご高覧ください。 向山裕 個展 主なグループ展 ※全文提供: ギャルリー東京ユマニテ 会期: 2010年10月12日(火)-2010年10月23日(土) |
最終更新 2010年 10月 12日 |