展覧会
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執筆: カロンズネット編集
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公開日: 2009年 12月 25日 |
「わたし」が「わたし」でいられる場所、「わたし」にとっての理想郷を描く河野里沙。河野にとって絵を描くということは、自分自身が安らげる場所を絵の中に見つけるということです。絵の中に佇む女性は、自画像のようでもありますが、同時に河野の平穏を守るための菩薩や天女といった意味合いも含まれており、守護天使として描かれています。
河野の作品は仏教思想にも影響を受け、仏教絵画がモチーフそれぞれに意味を持つように、画面に描かれた装飾は、それぞれに意味を持っています。実際、作品の構想を固めるときは、スケッチやデッサンとは別に、エスキースとして文字を配置していくことが第一歩となります。一見、ガーリーでメルヘンチックな作品ですが、明確なキーワードの配分によって描かれた守護天使や装飾には、その「Silent Paradise」を守るための強固なメッセージが込められているのです。
まるで冬の夜の街で鮮やかな光を放つイルミネーションのような、眩くも、どこか人工的な色彩で描かれる少女、そして、女の子を象徴するようなリボンや花びらは、モチーフそのものが持つイメージを超えて、冴え渡るように冷たい水のような透明感で、見るものを圧倒します。
2009年「アートアワードトーキョー丸の内」でシュウ ウエムラ賞を受賞し、今後の活動に注目が集まる河野里沙。本展では、新作ペインティングを発表いたします。どうぞご期待ください。
河野里沙(こうの・りさ) プロフィール 1982年 東京都生まれ。2007年東京芸術大学美術学部油画科卒業。2009年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。2009年「アートアワードトーキョー丸の内」にて、シュウ ウエムラ賞を受賞。
主な個展、グループ展: 2009年「THE BLOOM」Art Jam Contemporary(恵比寿)、「Girl’s Zone 05」Art Jam Contemporary(恵比寿)、「アートアワードトーキョー丸の内2009」行幸地下ギャラリー(東京・丸の内)。2008年「GIRLISH BLENDS」ギャラリーニモード(東京・神宮前)。2005年「5人展」東京芸術大学学生会館(東京・上野)。
※全文提供: ワーカホリックス株式会社
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最終更新 2010年 1月 08日 |