名和晃平:シンセシス |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 4月 27日 |
「Cell」という概念をもとに、先鋭的な彫刻・空間表現を展開する名和晃平(1975年生まれ)の個展。 名和はビーズやプリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど流動的な素材・メディアを情報社会における感覚や思考のメタファーとして扱い、デジタルとアナログの間を揺れ動く身体と知覚、感性のリアリティを多義的に表現します。 BEADS / PRISM / LIQUID / GLUE / SCUM / DRAWINGなどのカテゴリーに新たな展開を加え、音楽やファッション、プロダクトデザイン領域とのコラボレーション、パブリックアートなど、国際的に活躍する作品世界の魅力を紹介します。 ※全文提供: 東京都現代美術館 会期: 2011年6月11日(土)-2011年8月28日(日) |
最終更新 2011年 6月 11日 |
久々に、度肝を抜かれた展覧会だった。ビーズで覆われた剥製の彫刻のイメージが強い名和晃平の展覧会である。本展覧会の出品作は、ビーズの作品も含め、「cell/セル」という概念に合わせて作家が出した12個のテーマに沿ったもの。個々のテーマは、「CATALIST」、「PRISM」、「BEADS」、「THRONE」、「PORYGON」、「VILLUS」、「DRAWING」、「GLUE」、「SCUM」、「MANIFORD」、「MOVIE」、「LIQUID」。これら一つ一つに合わせ、彫刻作品、インスタレーション作品が展示されていく。
具象像と組み合わせるようにして、3DCGを立体化したという、キュビズムのように角ばった巨大な発砲スチロールの彫刻があるかと思えば、水を吸収しない紙にインクを落して描いた小さな水玉のドローイング有り、多様な表現に一々驚かされながらも、根底のテーマは揺らがない。また、一室ごとにテーマがある展示室をセルに見たて、一廻りすると出口と入口が繋がる順路は展示内容に合っていて面白い。加えて、展示にはキャプションがつけられておらず、展覧会場を巡った最後に展示内容を解説したパンフレットが設置してある点も注目すべきだろう。最初は展示物の解説が無い状況で、自分が何を観ているのか考えながら鑑賞し、パンフレットを観て再度一巡する仕掛けを楽しみたい。