松本陽子/野口里佳:光 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 7月 30日 |
松本陽子(b. 1936)は、1960 年頃より抽象絵画の制作を始めますが、1960 年代末に滞在したアメリカ合衆国でアクリリック(アクリル絵具)に出会い、新しい絵画の可能性を認識します。これは1980 年代から1990 年代にかけて実を結び、ピンクを主調とした独自の抽象絵画のスタイルを完成させました。近年では、緑の油彩画連作により、新しい境地を開いています。 1990 年代初めより写真による制作活動を開始した野口里佳(b. 1971)は、《フジヤマ》(1997-)などの完成度の高い連作により、早くから注目を集めました。卓抜なテーマの選択と特有の距離感をたたえた画面は、写真というメディア自体の本質に迫るものとして、国際的にも高い評価を受けており、活躍を続けています。 松本陽子と野口里佳は、手がけるメディアや表現手法、そして世代も異なっています。しかしながら、光がその作品の重要なテーマの一つとなっているという共通点を持っています。むろん光は、内外の芸術において、さまざまな意味で古くから重要な主題となってきました。そのなかでも彼女たちの表現には、光の直接的な表象をめざすという、きわめて困難な試みを見て取ることができるように思われます。展覧会では、二人の作家の作品を、近作を中心にそれぞれ個展のかたちで展示することにより、現代芸術の一つの達成を紹介いたします。 全文提供: 国立新美術館 |
最終更新 2009年 8月 19日 |