「再考現学/Re-Modernologio」 phase2:観察術と記譜法 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 10月 22日 |
「考現学」の基本である観察と記述の方法論をアーティストの活動を起点に探求する。 今年度ACACでは青森県出身の建築家今和次郎が提唱した「考現学」をキーワードに、現代の社会構造や生活文化、地域の日常生活と芸術の関係のあり方をアーティストの創作活動を通じて探求し再考する展覧会『再考現学』を2011年7〜9月、10〜12月、2012年1〜3月の3期に分けて開催します。第2期となるphase2のテーマは「観察術と記譜法(きふほう)」です。今和次郎は当時の社会や生活空間を非常に注意深く様々な角度から眺め、それをドローイングによりとても丁寧に記述していきました。 phase2に参加するアーティストに共通するのは、みな鋭い観察力をもって現在の状況や対象とするものや人の様子を注視し、それを変換、あるいはそれに対してアクションを起こす、または対話をするように記述し定着する独自の表現手法を備えていることです。冨井大裕(とみいもとひろ)は誰もが見覚えのある日用品などの「もの」が元来備えている機能や意味をいちど剥奪し、それをそのもの自体の色やかたちにまで還元し組み合わせることで彫刻を実現します。丹羽良徳は通常は人が気にもとめないような状況や、彼が置かれた世界で見えてくる違和感に敏感に反応し、そこに異質な行為を挿入することで生じる緊張した状況に自らを置くことをパフォーマンスとして記述していきます。そして朝海陽子はなんらかの事柄に没頭している様々な人の姿や振舞いを限られた時間で彼らと対話するなかでその空間に没入し、瞬間を捉え写真として定着していきます。また、同時期にはルーマニアより美術家で教会のフレスコ画などの修復家としても活動するパル・ペーターが来青し、同テーマのもとで野外彫刻作品の制作を実施します。最終的な作品の表現手法は千差万別ですが、自身の探求するものへの独自の観察力の鋭さと、捉えたものをかたちにする一貫した記譜法には、非常に興味深いものがあります。 今和次郎は、やはり独自の観察力で当時の状況を多角的に捉え、とても特徴あるドローイングという記譜法によりそれを定着させていきました。観察と記述という考現学の基本的なメソッドを、各アーティストの制作スタイルになぞらえて考察することで、世界の見方や記述(定着)の仕方を探求していきます。 ※「考現学」とは:青森県出身の建築家今和次郎(1888−1973)が提唱した学問。現代の社会現象を場所・時間を定めて一斉に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。ドローイングを用いたフィールドワークを特徴とし、のちの生活学や風俗研究の先鞭となった。 参加アーティスト: 冨井大裕(彫刻)、朝海陽子(写真)、丹羽良徳(パフォーマンス)、パル・ペーター(インスタレーション/ルーマニア) 【関連イベント】 ★オープニングパーティ(交流会) 2011年10月23日(日)15:30 - 16:30/500円 ○千葉奈穂子版画ワークショップ ○志賀理江子アーティストトーク ○パル・ペーターアーティストトーク ○丹羽良徳ワークショップ ○朝海陽子写真編集ワークショップ ○冨井大裕ワークショップ ○学芸員による鑑賞ツアー 【関連展覧会】 再考現学AIRSプロジェクト「タムラサトル展」他 ★「再考現学/Re-Modernologio」今後の招聘予定アーティスト ※全文提供: 国際芸術センター青森 会期: 2011年10月23日(日)-2011年12月18日(日) |
最終更新 2011年 10月 23日 |