利根川友理:ドッジボールVer.2.0 /光のおもさ依然と |
展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2014年 11月 06日 |
20202 では11 月28 日より利根川友理[ ドッジボールVer.2.0 /光のおもさ依然と] 展を開催致します。 利根川は大学では理学を修め、その後さらに版画を専攻するという経歴を持つ。作品制作は版画作品からのスタートとなり、ドライポイントやエッチングで製作されたモノトーンの平面作品は、その後次第に空間へと展開していく。 そして画布に痕跡を残す作品は姿を見せなくなり、マテリアルと対峙し、物質に最小限と思える作為を加える事によって、観る者の空間に対する均衡が揺らいでしまうような、インスタレーション作品を展開していく。 近年では蔵書を使用した作品の発表も行っており、読書をする為の文字が印刷され、紙が綴じられた背表紙のある本の概念から離れた「鑑賞書物」という観点から、物質そのものとしての本を提示する仕事をしている。言葉も一つの網膜を刺激する図像として捉え、文字の記号としての性質まで問うような、ラディカルな作品である。 今回の新作インスタレーションにも繋がる、日常的に良く使われる文房具や金具など身近にあるものをマテリアルとして使用した作品もまた、本来使用される方法とはかけ離れた提示をされることにより、もう一つの姿を露にしてしまう。それはその場において、むしろそれこそが本来与えられていた、あるべき姿のように鎮座し並べられ、設置される。そして空間に潜んでいた本質や意味までも問うように作品が提示される。 利根川は作品を制作する際「動き出す寸前」ということを意識するそうだ。鑑賞者はこれらの作品たちが現実に動くイメージを持つ事は容易い。絶妙なバランス感覚で、ぎりぎり物質としての作品が静止している空間を表出させる、技術に裏付けられた制作方法と言える。それは高い集中力で思考を反芻することにより創出される、ものとものとの間に在る空気のテンションを操作する行為なのかも知れない。 そして利根川から与えられた規定が空間へ満ちるている時間、最小限に配された物質としての作品たちは自由を与えられ、存在し続ける。事物や意識の在りよう、そして「美」の縮図のように、その瞬間一瞬しか感じられない感覚を刺激する機会に立ち会うこととなる。
[作家プロフィール] 利根川友理 Yuri Tonegawa 1964 埼玉県に生まれる 1987 東京理科大学理学部卒業 1994 創形美術学校版画科卒業 1995 創形美術学校研究科版画課程修了 <個展> 1995 なびす画廊(東京) 1996 なびす画廊(東京) ガレリアラセン(東京) 1997 かねこ・あーとギャラリー(東京) 1998 ギャラリー人(東京) ギャラリーアートワークス(静岡) 1999 ギャラリーなつか(東京) 2001 ART SPACE Life=passage(名刺ケースギャラリー/ 東京) ギャラリー山口(東京) 2002 「降り積む秒、足裏を引く力」O ギャラリーUP・S(東京) 2003 「Crossing-痺れた左手で右手を握る」ギャラリー現(東京) 2004 「 不在の私・私の不在」Space=Passage(東京) 2005 「 lines」Gallery Bar kajima( 東京 ) 2006 「 めくられるべくある頁」言水制作室,書肆アクセス,かげろう文庫(東京) 2010 「 ドッジボール――スローモーション若しくは中座」路地と人(東京) 2013 「 隔された声、完璧なあなたの影」 NADiff a/p/a/r/t(東京) <主なグループ展> 1994 「日本版画協会展」東京都美術館(東京/ 同95 年) 1996 「コレクターへのすすめ展」O ギャラリー(東京/ 同97 年、2001 年) 「ウッジミニプリントトリエンナーレ」(ポーランド) 1997 「昭和シェル石油現代美術賞展」東京国際フォーラム(東京) 「現代日本美術展」東京都美術館、京都市美術館(東京) 「マジョダネック国際アートトリエンナーレ」(ポーランド) 「第2回アート公募」モリスギャラリー、SOKO ギャラリー(東京/ ギャラリー企画賞受賞) 2001 「線/繊/線」O ギャラリー(東京) 2003 「アートジャム」ギャラリー山口(東京) 2004 「樋口朋之&利根川友理展」ガレリア・プント(東京) 2007 「線・記号・文字-< 本> をめぐる試み」埼玉県立近代美術館(埼玉) 2012 「館林ジャンクション-中央関東の現代美術-」群馬県立館林美術館(群馬) 2013 「見えてくるもの-利根川友理と高山良策」Chika Ecoda/ 日本大学芸術学部(東京) -関連資料- etc.(1998 年6 月号)/6 月の推薦 LR(1998 年10 月号)/ アーティストアンケート BT / 美術手帖(2001 年9 月号)/ 展評(梅津元) etc.(2001 年11 月号)/review(言水ヘリオ) BT / 美術手帖(2002 年10 月号)/ 展評(臼木直子) 埼玉県立近代美術館ニュース「ソカロ」2007 年8,9 月号/(梅津元) 群馬県立近代美術館図録「館林ジャンクション-中央関東の現代美術-」(2012 年6 月) 作品集『 利根川友理 ドッジボールVer.1.1「坂道発進、此処へも何処へも」記録集』(2013 年 3 月 ) Web サイト:『関心空間』(2007,2010 年)/(room9) http://www.kanshin.com/user/21850 YouTube:http://www.youtube.com/user/YuriTONEGAWA1( 2006,2010年個展記録)
全文提供:20202(ツーオーツーオーツー)
会期:2014年11月28日(金)~2014年12月23日(火) 時間:15:00~19:00 休日:日•水 会場:20202(ツーオーツーオーツー)
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最終更新 2014年 11月 28日 |