三輪途道:普通のありよう |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 5月 11日 |
昨年、銀座で開催した個展に引き続き新作数点を加え、当画廊では3年ぶり5度目の個展である。三輪途道が長年テーマにしている「日常」というべきある形象を作品としている。 三輪の日々のあたりまえのように経過する生活の中にリアルに生きる、甥や姪、その子供達の服、犬などが写実体で表現される。それら日常の一瞬の表情や物質としての現実が、私たち鑑賞者の目の前にあまりにもリアルに見せられた時、人はたじろいだり、驚いたり、思わず苦笑さえも誘う。そんなあらゆる日常の命のリアリティーの表出が三輪の作品の魅力である。 今日の現代彫刻には相応しくないともいえる木心乾漆という木彫の古典技法も、単なる制作手段ではなく、そのリアリティーを表現するために他の技法に代えることのできない、意味不可欠な技法であることが作品を目前にした時理解できる。 三輪の作品を技法と表現の問題だけで古典美術と呼ぶのか現代美術と呼ぶのかさえ無意味にさえ思えてくる。彼女の作品を見せられた時、美術とは技法や表現の新旧ではなく、いかに今生きる瞬間の真実を、リアルにそして今しかできない作者自身のリアルな本質で、今まで見たことのない又は見せられたことのない形でその真実が表現され、検証されることなのだと思い知らされる。 三輪途道 略歴 個展: パブリックコレクション: ※全文提供: 画廊翠巒 会期: 2010年5月15日-2010年5月23日 |
最終更新 2010年 5月 15日 |