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マンフレディ・ベニナアティ:置き直された風景
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 07日

《mother》2008年 copyright(c) Manfredi Beninati / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

【作品紹介】
ベニナアティはパレルモ大学で法学を修め、ローマで映画を学んだのち、芸術制作を本格的に始めました。英国やブエノスアイレスでの長期滞在を経てパレルモへ帰郷した、異色の経歴の持ち主です。ジュゼッペ・トルナトーレ、ダミアーノ・ダミアーニといった映画界を牽引するディレクターの下でアシスタントを務めたベニナアティの作品には映画の視点が織りこまれ、感情を内包した妙なる世界として表れます。記憶というレンズを通して見つめる子供時代への追憶が、夢とも現実とも捉えうる像として再現され、その世界観はイタロ・カルヴィーノやルイス・キャロルの文学をどこか彷彿とさせます。 今年(2008年)開催されたリヴァプール・ビエンナーレに出展した作品 "To think of something" では、通りに面した空き店舗の中を丸ごと、架空の家族の家のようなインスタレーションに作り変えました。れんが造りの外壁にいくつか空けられた穴から中をのぞくと、今まさにそこで小さな子供が遊んでいたかのような、おもちゃの散らばったリヴィングルームが見え、さらに奥にはダイニングルームや寝室もあり、家族が暮らすぬくもりの痕跡を感じることができます。子供時代特有の不安と安らぎ、心を揺さぶる感情の記憶を、ベニナアティの紡ぐイメージは見る者の心に解き放つのです。

【この展覧会について】
今回の個展では、作家自身の両親を思い描きながら作られた、夢の中の世界のような作品をご紹介いたします。ペインティング2点、ドローイング2点、木の台座に設置された純白の陶器の彫刻2点を展示いたします。また、Gallery 2では和家具を配した部屋のような展示で、作家がイメージする「日本人の、一般的なブルジョワジーの部屋」を室外から覗き込むようなインスタレーションに仕上げる予定です。どうぞこの機会にご高覧ください。

【作家プロフィール】
マンフレディ・ベニナアティは1970年イタリア、パレルモ生まれ。現在もパレルモで制作を行っています。 第51回ヴェネチア・ビエンナーレではイタリア・パビリオンにて観客賞を受賞(2005)、またローマ・アメリカン・アカデミーよりローマ賞を受賞(2006)。08年にはリヴァプール・ビエンナーレ、カルディナーレ・ディ・ローマにも参加しました。07年Museo Laboratorio, Città Sant'Angelo(イタリア南部、ペスカラ)で個展を行ったほか、世界中で多くの展覧会に出展しています。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2009年 1月 10日
 

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