展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2009年 10月 13日 |
「キャンバスの大きさが、作品の大きさではない。」 野依幸治の作品にはそう思わせる、不思議な広がりがあります。 野依は「支持体上に表現しなくてはならない」という絵画の性質を理解した上で、その制限を越える作品に取り掛かっています。その制作テーマが「空間交錯」。影や映りこみを効果的に用いて、視覚で捉えられるモノの先にある「何か」を鑑賞者に想像させます。キャンバスに描かれた野依の作品は、その枠を超え、私たちの頭の中で無限に広がっていきます。
淡いブルーが印象的な穏やかな色調や砂によって生まれる独特なマチエールは、この世界が現実でない事を教えてくれます。薄霞の中を漂うように、遠い記憶の糸をたどるように、私たちはその反響する世界に迷い込むのです。
本展は比較的小さい作品で構成されます。一作品前の関連性のある大作による統一感のある展示とは異なり、ひとつひとつの作品がしっかりと意思を持った展示となります。そこには作品の数だけ野依の巧みなアイデアがあり、幻想的な「ストーリー」が心の中で広がっていく事でしょう。新作15-20点による展示となります。この機会に是非ご高覧ください。
野依 幸治 / Koji NOYORI 1978 愛知県生まれ 2004 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業 2006 同大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了 【個展】 2005 「口笛吹く風」 (ごらくギャラリー / 東京) 2007 「あしたの日記」野依幸治油彩展 (松坂屋本店南館6階美術画廊 / 名古屋) 2008 「空の想い出」 (YOKOI FINE ART / 東京) 2009 「Panorama」 (Bunkamura Gallery / 東京) 【受賞】 2004 東京藝術大学卒業制作展 (東京都美術館 / 東京)、卒業制作作品帝京大学蔵、O氏記念賞、2006 シェル美術賞展入選 (代官山ヒルサイドフォーラム / 東京) 【パブリック・コレクション】 帝京大学(東京)、名古屋大学(愛知)、了徳寺大学(千葉)、理化学研究所(埼玉)
全文提供: YOKOI FINE ART
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最終更新 2009年 10月 30日 |