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十文字美信:FACES
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 9月 08日

画像提供:ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート

広告、コマーシャル写真、映像表現の分野で活躍、話題性の高い写真を発表してきた写真家、十文字美信の個展。独特の視点とテーマを凝らした作品シリーズを発表し続けている。

人体のあらゆる部位の中で、顔だけは特別な存在だ。壁に刺さっている3箇の画鋲を見ただけで、ある種の顔を連想してしまう。粗野な網点印刷からでも、顔の個体的な特徴を読み取ることができる。誰と誰が似ているなんてすぐに想像できる。脳の内部には、顔だけに反応する特別な細胞野が存在するのではと思われるほどだ。

このところ、僕はずっと顔の写真を撮りたいと思い続けてきた。どんな顔写真に興味があるかというと、まず「決定的瞬間」から自由であり、ドラマティックな表情よりもっと大切なものがあると思わせる写真、そして何よりも心惹かれるのは、撮ってみなければ結果がわからない、論理的に計算できるものをはるかに凌駕する顔の写真だ。

現在ただいまのこのリアリズム、新しい必然に立ち会いたいと願っている。

十文字 美信

引用文提供: ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート

最終更新 2009年 9月 05日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


DMの画像を見たとき、これはフランシス・ベーコンだと思った。顔の鼻から上にかけての具体的なパーツが暴力的なまでに掻き消されていたからだ。それは顔全体がひしゃげているように見えた。だが会場で展示されているその他の作品を見ると、むしろキュビスム的に顔全体を三次元から二次元に再構成しているものがほとんどだ。どちらにせよ絵画的な写真でありその点での既視感は否めないが、私の瞼の裏には絵画と異なり実在の人間の顔が変形されてしまっていることに対する非常な居心地の悪さが今なお残っている。


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