額田宣彦:定常Ⅱ |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2013年 7月 29日 |
額田宣彦 (ぬかた・のぶひこ) は 1963 年大阪生まれ。’91年、愛知県立芸術大学大学院修了後、’99年には助成を受け、ロンドンに滞在。その年、アメリカ、ヨーロッパを巡回し日本の若手作家を紹介する大規模な展覧会“Painting for joy”(国際交流基金主催)に出品。その後も国内外の展覧会で発表を続けました。’09年には愛知県美術館で開催された「放課後の原っぱ櫃田伸也とその教え子たち」で新作を発表。そのシンプルでストイックな作品は、好評を博し、現在では常に注目を集める作家の一人として活躍しています。 額田の作品は均一に塗られた下地の上に、限られた色の線画を施したもので、一見 CGのようですが、実際にはマスキングテープなどを一切使わず、フリーハンドで延々と画面に線を積み上げていきます。近年は、エッグテンペラと油絵具で、麻布の布目に沿って描かれる究極の技法にまで到り、さらに前回個展では、真っ白な画面の四隅に単色を乗せたもの、地色の上にやっと見えるか見えないかの拙い一本のラインがあるもの、など作品は究極を極めました。それは、額田が追い求めてきた限りなくシステマティックに作り上げる絵画でした。 今回は 120 号S というサイズに拘わり、大作3 点を中心に構成されます。額田は、『「絵を描くことを反芻すること」が大切なことだと改めて実感している』といいます。画家として、一人の人間として「絵画」と「日常」をつなぐ「対象」とは何かを考えた時、常に画面と対峙し描き続け当たり前に真正面から実践することが、その「対象」に値するものではないか、という結論に達し、近年は「制作」にもっと従事したいと思うようになったといいます。 作品に出会った時、何かの手がかりを探そうとする観る者の思いを断ち切るかのような額田作品ですが、そのストイックでシンプルな印象はどこまでも力強く、絵画という存在を超えて私たちの奥底に侵入してきます。 今回も前回に続き 1 年半ぶりの新作展になります。淡々と絵画と向きあい、その先に生み出された等身大の作品とともに、じっくりと静かに堪能していただける空間が今回も用意されました。この機会に是非ご高覧下さい。 [作家プロフィール] 全文提供:ギャルリー東京ユマニテ 会期:2013年9月17日(火)~2013年10月5日(土) |
最終更新 2013年 9月 17日 |