中島崇:宙に画描く |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 5月 17日 |
フランス大使館旧庁舎で昨年11月から今年2月まで開催されたアートイベント ”NO MAN'S LAND 破壊と創造 ”。中島崇はその場で斬新なインスタレーションを展開し、大きな話題を振りまいた。彼は旧フランス大使館の一部屋をキャンバスに見立て、ある植物の成長と衰退を大胆かつ克明に表現した。最後に残された『種』は今、風に乗って数百メートル離れたTOKIO OUT of PLACEに着床、発芽をはじめる。 思うままに線を走らせる『落書き』ともとれる中島のスタイルは、今や素材や場所を選ばず、方法さえ選ばない。縦横無尽に動き、ぶつかり、跳ね返り、その線は自由に空間に描かれて行く。それらはどこまでも繫がり成長しつづけ、いずれ宙を支配し全体を創りあげていくのだ。 唐突だが、その様は『雑』という領域に入るものかもしれない。『雑』とは、和歌や俳諧の題材による分類の一つ。和歌では四季・賀・離別・羇旅・物名・恋・哀傷などのどれにも属さないもの。その意義は、「いろいろ種類の違うものを、まぜて寄せ集める。精密でないさま、いい加減なさま」となる。 不可視のネットワークによって繫がり拡がり続ける現代美術界の混沌の中を、中島崇は落書きを手法に現代の『雑』として生き抜く覚悟を決めたのだ。 TOKIO OUT of PLACEに放たれる中島崇の落書きの空間を是非ご高覧ください。 作家プロフィール 1996〜7:(株)スタジオエビス、1997〜8年清水尚写真事務所。その後、フリーランスになり、写真、デザイン、壁画、空間演出などを手掛ける ※全文提供: TOKIO OUT of PLACE 会期: 2010年5月21日-2010年6月19日 |
最終更新 2010年 5月 21日 |