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椿会展2009:Trans-Figurative
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 4月 01日

丸山直文≪appear≫2008年 | 183cm×366cm アクリル、綿布 撮影:武藤滋生 | copyright(c) Naofumi MARUYAMA

塩田千春≪無意識の不安≫2008年 | 毛糸、ドレス | 撮影:Sunhi Mang copyright(c) Shiharu SHIOTA

1919年、初代社長・福原信三によって設立の資生堂ギャラリーは、途中、震災や戦争などの理由により何度かの休廊を余儀なくされましたが、連綿と活動を継続し、本年、開廊90周年を迎えます。「椿会」は、長年にわたる資生堂ギャラリーの活動を代表する展覧会です。 椿会は、第二次世界大戦後間もない1947(昭和22)年、戦時中一時閉鎖されていた資生堂ギャラリーの活動を再開するにあたり組織されたグループ展です。資生堂のシンボルマークである「花椿」にちなんで「椿会」と名づけられ、川合玉堂、横山大観、梅原龍三郎、川島理一郎等、それまで資生堂ギャラリーと関係の深かった日本画、洋画17名の作家によって編成されました。以来、時代とともにメンバー構成を変えながら2007年に結成された第六次椿会まで、合計80名の作家に参加いただいています。2007年に活動を開始した第六次椿会のメンバーは、椿会史上最も若い以下の6名です。毎年全員が出品するのではなく、各年4名が出品し、顔ぶれを少しずつ変えることで常に緊張感と新鮮味あふれるグループ展をめざしています。

また、第六次椿会では、より積極的に作家同士の話し合いのなかで展覧会を作り上げていくことを試みています。「椿会展」というメインタイトルの後に続く「Trans-Figurative」は、第六次椿会のコンセプトです。「Figure(形象)」を「Trans(超える)」というこの言葉には、これまでの椿会のイメージを超える、そして各作家も現在の自己の世界を超える、という想いがこめられています。2009年の出品作家は、伊庭靖子、塩田千春、祐成政徳、丸山直文の4名です。写真というニュートラルな視点を介在させながら、クッションや器といった日常品のリアルな触感と空気感を油彩で描く、伊庭靖子。自らのうちに抱える不安や焦燥感を、パフォーマンスやインスタレーションで表現する、塩田千春。バルーンや金属などの素材を使い、建築構造に強くアプローチする立体作品を制作している、祐成政徳。ステイン(にじみ)の技法を用いた淡い色調、単純化したフォルムで水墨画を思わせる世界をアクリル絵具で描き出す、丸山直文。4人で「Trans-Figurative」という第六次椿会のコンセプトにあらためて正面から向き合った話し合いを重ね、それぞれが「椿会展2009」のための新作を制作しました。伊庭靖子、塩田千春、祐成政徳、丸山直文の4人が織り成す「Trans-Figurative」にどうぞご期待ください。 なお第六次椿会は、特別展として2010年、6名のメンバー全員が出品する「椿会展2010」を開催します。3年間の活動を経て、伊庭靖子、塩田千春、祐成政徳、袴田京太朗、丸山直文、やなぎみわの6名がどのような饗宴を見せてくれるのか、こちらも是非ご期待ください。

全文提供: 資生堂ギャラリー

最終更新 2009年 4月 07日
 

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